俺昔話

福岡市早良区室見、中村孝治ピアノ教室 第17回目のブログです。

今日は少し昔話を…。

 

先日、ピアノを始めて1年目の大学生(19歳)の生徒さんにスケール(※注)やその練習方法などを指導しているときにとても懐かしい気持ちになりました。

 ※ スケールは日本語で音階、簡単に言うならドレミファソラシドの音の並びのことです。

 

何が懐かしいって?

私も17歳のときに独学でピアノを始め、19歳でピアノの道を決意しましたが、その時の自分はスケール1つも満足に弾けなかったことを思い出すのです。そもそもド以外の音から始まる音階が存在していることすら知らなかったという…。

アメリカでスケールが24種類あると知ったとき、それはもうなかなかの衝撃で脳内は完全にパニック状態。

24種類のスケールとはメジャースケール(長音階)12種類、マイナースケール(短音階)12種類の合計24種類です。

このメジャーやらマイナーとやらが何のことやら、また何がどう24種類も違うのか、というのが多くの方が感じる謎です。この説明にはさらに前のステップが必要なのですが、今日は割愛させていただきます。

まあとりあえず、19歳の自分には意味が分からなかったのです。でも周りの様子を伺うにどうやら超基礎中の基礎らしい...。

 

「そんな空気出されたら質問しにくい!!」

 

と、そんな感じで1人グルグルと悩んでいました。空気を読まず何でも質問するアメリカ人のメンタルを心から羨ましく思ったものです。

ようやく理屈を理解したのはメジャースケール(長音階)を3、4種類ほど練習してからだったと思います。理屈は理解してしまえば何てことのないことでした。

でも理屈がわかるのと鍵盤上で全種類自由に弾きこなせることはまた別。結局全種類を自由に弾きこなせるに至らないまま、21歳でボストン音楽院に入学となりました。

 まぁそんな状態での音大合格はどうあがいてもは何かの誤りであったとしか思いませんね。そこだけ取り上げると、もはや審査をした先生方の耳を疑うレベルの事態です(笑)

 

 その後ボストンにて…

入学初年度、ピアノ科1年生は必修科目としてFundamental Piano Technique(ピアノの基礎技術)という授業があります。要はスケールやアルペジオなるものを徹底して練習させられるクラスです。

「ボストン音楽院に合格する生徒にそんな授業は必要ない、カリキュラムの見直しを要求する!」

と叫びたいところですが、悲しいほどに無力な私でした。

 

同期のピアノ科4人は全員とも初回の授業で完璧にクリア。授業を免除され、その後の授業に来ることはありませんでした。そんな中、自分は全てのスケールの音の並びすらまだ把握しておらず、アルペジオに至っては壊滅的に弾けない。

知り合ったばかりの同期全員に自分の圧倒的な不出来を晒してしまい、耐え難い恥ずかしさと悔しさ、そして自分への憤りで心は埋め尽くされました。先生もこんな生徒が入学してきたことに驚愕と困惑を隠せないよう様子

そのせいか、その先生は卒業まで異常に優しくしてくれたという(笑)

 

心躍らせ、高い志と共にボストンに向かった私の妙な自信は、わずか1週間で粉々に打ち砕かれたわけです。自分はまさにボストン音楽院の歴史に残るレベルの劣等生だったのです。今思い出しても悲しくなる挫折でした。

それから授業をクリアできるまで、散々苦い思いをしながら練習をしました。半泣きの鬼のような形相で毎日何時間もスケールとアルペジオを弾き続けたことは忘れません。まぁたった一学期間の練習では、それでも最後は温情で単位をもらえるくらいのレベルにしか至らなかったんですけどね。

この授業の他にもいくつか同様の事態に陥ることがありました。中にはあまりに出来なさ過ぎて単位をもらえなかったクラスもあります(数年後に何とか取り直しました)その度にこの悔しさと恥ずかしさと憤りを繰り返してきました。

 

 だからこそ…

今思えば、あの経験があったからこそ生徒さんに指導する際にも、生徒さんの色んな「わからない」という状態がよ~くわかります。苦しいほどにわかります。実際割と最近の経験として苦しかったから。

今はまだ自分にとっても10年しかたっていない経験ですが、今後も一生あの苦しみは忘れずに指導をしていきたいものです。

 

さて今回は昔の苦労話の回となってしまいましたが、つまりはそんな講師が教えているというお話です。中村孝治ピアノ教室、よろしくお願いします。

 

 


About the author: koji nakamura

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