福岡市早良区室見 中村孝治ピアノ教室 第23回目のブログです。

子供の教育 お悩み解決! ということですが、私が解決するわけではないですよ。もちろんご相談にはいくらでも乗ります。ただ今回は私が最近読んだ面白い本について紹介します。

教育の経済学

 

経済学と言われると小難しい内容でとっつきにくそうなイメージを持たれるかもしれませんが、この本については全くそんなことありません。

例えば

ゲームは子供に悪影響?
ご褒美で釣るのっていけない?
「頭がいいのね」と「よく頑張ったわね」どちらのほめ方が効果的?
勉強はそんなに大切なのか?

仮にも経済学と名の付く本ですので、全編通して子供への教育的投資がどれだけの経済効果(その子の将来の年収や生涯賃金の増加)に繋がるのかを、実際に教育現場で行われた実験(中には数十年の経過観察を経て行われています)を基に明確なデータとして結論を導き出しています。

では実際にどんな内容?

例えば上に挙げた「ご褒美で釣るのっていけないのか?」という疑問について行われた実験ですが、まずその答えから述べますと、筆者の見解は「ご褒美で釣るのは問題ない」というものでした。

問題なのは

「ご褒美で釣ること」 ではなく 「どのようにご褒美を与えるか」

だそうです。ちなみにお金をあげるご褒美もそれ自体には何も問題ないそうです。

それではアメリカで行われた実験内容です。

ランダムに2グループに分けられた子供たち、

①「1冊本を読む、宿題を終える、授業にちゃんと出席する、制服を正しく着る」ことでそれぞれお小遣いが与えられるグループ

②「テストの結果、成績通知表の結果がよければ」お小遣いが与えられるグループ

 

という条件で、どちらのグループがより学力テストの結果が向上するのか経過を観察しました。さて結果はどうでしょう…?

テストの結果に直結しそうなのは見るからに②ですが、結果は①のグループの方がテストの結果が向上し、②のグループは全く向上が見られなかったそうです。

更に①のグループの中でも「本を1冊読んだらお小遣いを与えられた子たち」の成績向上は著しかったとのこと。

 

一体なぜか?

端的に言うと、②のグループの子たちもお小遣いに向けてやる気は出したものの、実際に何をどうすればいいのか手段がわからなかったのです。

以下本文から抜粋です

②のグループの子供たちに「今後もっとたくさんのご褒美をもらうためには何をしたらよいか」という問いに対し、ほとんど全員が「しっかり問題文を読む」、「解答を見直す」などのように、テストを受ける際のテクニックについての答えに終始していた。「わからないところを先生に質問する」「授業をしっかり聞く」などのように、本質的な学力の改善に結びつく方法にまでは、まったく考えが及んでいなかった。

もちろん100%の子供に当てはまるわけではありませんが、少なくとも大多数の子供においてはこの実験結果が正確に当てはまるように思います。

教育に正解はない、だけど…

その他にも子供の教育における色んな悩みにはまる実験がたくさん載っています。

教育において100%正解といえる答えは決してないと思いますが、それでも方向性としてはかなり高い確率で正しい教育法は実験と検証によって導かれています。日本では未だに教育というものが科学や学問とは切り離されて、個々人の経験談でばかり議論が行われているのが現状です。

私もピアノ教室の先生として経験も浅いですが、それでもそこそこの数の子供の成長を追いかけています。色んな子を見ているので私は「まぁこんな感じでOK、OK」と思うことも親御さんにとっては「うちの子はこれで大丈夫なんだろうか???」と不安になっておられることが多々あります。自分の子しか見ないからそれは当然です。

だから経験は大事、でも経験だけでは本当に正しいものかあやふやです。この本はそんな教育のあやふやな点をクリアにしてくれます。

子供の教育に悩まれる方のバイブルとしてぜひオススメです!!