逆説の演奏技術

福岡市早良区室見 中村孝治ピアノ教室 第30回目のブログです。

今日はピアノの演奏技術について最近思ったことをお話しします。

かなり以前のブログで「ピアノを弾く時には鍵盤を決して押さないでください」と書いたことがあります。

決して押さないでください

ある意味このブログの続編のような話ですが、

「ピアノの演奏技術とは何かを出来るようになることではなく、何かをしなくなることである」

ということを今日は伝えたいと思います。

は?どういうこと?

そう思われる方が多数だと思いますが、まぁ焦らないでください。

これは大変重要な考え方です。

ピアノを学ばれている方々にお聞きします。あなたは曲を学んでいく中でどのようなプロセスを経ていきますか?またひとつひとつのプロセスを経て自分の演奏はどう変わっていきますか?

ざっくりとした一般的な流れとしては

譜読み → 暗譜 → 仕上げ

という流れが大半でしょう。さらにそれぞれの中に細かいプロセスが無数にあると思いますが、今日はそこは割愛させていただきます。なおここから先はベストだと思われる練習法ではなく一般的に多くの方が行っている練習をベースにお話しします。

譜読みの段階

この段階ではまだまだ無駄な動きが大きいためミスタッチも多く、スムーズにも弾けない。譜読みが済んだところばかり繰り返すようになり、譜読みが進まないと曲を変えたくなる。正直一番しんどい作業。

暗譜の段階

この段階に入ると無駄な動きが減り、スムーズに弾けるようになるため楽しさが増してくる。徐々にミスタッチも減ってきて、「私ピアノ弾いてます感」に満たされる。一見ここが一番楽しいと感じる。しかし何か所かまだ弾きにくいところが残っている。

仕上げの段階

暗譜が完了し、弾くことは楽々と出来るようになる。「もっとここはこう弾きたい、ここが苦手」という部分を重点的に練習する。本当はここが一番楽しい。しかし惰性で弾けるようになってしまうので要注意。本当は一番時間を要する段階です。

※暗譜の段階で完了してしまう方は是非あと一歩頑張って!

では「何を」しなくなるのか

さてお気づきの方もいるでしょう。各段階においてわざわざ太文字にしている部分があります。

無駄な動きが多い → 無駄な動きが減る → 弾くことは楽々と出来る

ここまで来ると冒頭の「何かをしなくなる」ということの「何か」が何のことかお判りでしょうか?

その答えは「無駄な動き」です。プロの演奏をYoutubeなどで観てみるとすぐにわかりますが、その動きは実にスムーズでピアノを撫でているようにしか見えないピアニストすらいます。

つまり一切の無駄がない」のです。

言い方を変えれば、「最低限の動きで演奏している」ということです。

無駄がない=美しい

これはピアノに限った話ではありません。一流のアスリートもすべての動きに無駄がなく、実にスムーズで美しいと思いませんか?または美しい身体というのも無駄な贅肉を落とした先にのみ存在します。

難しいテクニックや曲に挑むときに、躍起になって努力することは多々あると思います。しかし本当に必要なのは斬新なテクニックを身に着けようとすることではなく、いかに不要な動きを削ぎ落としていくか、かもしれません。

同じ努力でも方向性が全然違います。誤った努力はいくら積んでも思ったような成果は出ません。これはとても大事な考え方です。

例えばピアノを上手になりたいといって、100mのダッシュを毎日100本しても上手にはならないですよね。これはかなり極端な例ですが、実際の皆さんの練習の中にもベストとは言い難い努力の方向性の誤りはおおいにあり得るわけです。当然それは私自身も例外ではありません。

常の自分の練習方法や時間の使い方をチェックし、見直していくことをおススメします。


About the author: koji nakamura

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