福岡市東区 折居吉如ピアノ教室、早良区 中村孝治ピアノ教室 ブログ更新です。

こんにちは、室見校の中村です。今日はつい昨日レッスンであった面白い話を書かせていただきます。テーマは「香りで作る柔らかい響き」。

音と香りの関係

私は感覚的にいつも音の響きを香りのようなものだと捉えています。ハンマーに打たれたピアノの弦から、まるで匂いのようにふわりと響きが立体的に立ち上るイメージです。しかし打鍵の仕方が荒かったり、深すぎるとそのような響きは生まれず、音がレーザービームのように直線的になってしまいます。

そんなレーザービームのような音では美しく音をつなげること(レガート)はできません。レガートは美しい演奏の要、それを私がレッスンの中でどのように教えたのかというお話をさせていただきます。

イメージでレガートを作る

小学3年生の生徒さん、弾いていたのは「オルガン・ピアノの本1」の中の「いねかり」という曲でした。最初メロディを切って演奏していた彼にレガート奏法を伝えるために私がかけた第一声は、

「〇〇くんはお米は好き?」(曲名が「いねかり」なので)

回答はまさかの「微妙」…。パン派でした(笑)

まぁ気を取り直して、「炊き立てのご飯の匂いを想像して」と私。

「炊き上がったばかりの炊飯器を開けた瞬間のあの湯気と顔全体を包むような香り。もしそれを音で表現するならどうすれば良いかな?」

少し考えてもらってからスタッカートとレガートそれぞれ弾いて聴かせました。

スタッカートの時は素早く音が飛び散っていくように、レガートの時には1音1音弾くたびにゆったりと大げさなジェスチャー付きで弾いて見せたところ、彼は一発でレガートを作れるようになりました。

物理的に指をどう動かすかは一切説明していません。しかし彼は音とイメージから自然とレガートを生みだしたんです。このようにイメージが出来ると人は自然とそれに合った弾き方、身体の使い方を選択していくものです。

逆に「前の指を離す前に次の音を押して、それから前の指を離す」なんて説明をしてもなかなか伝わりません。

何度も言うように、大切なのはイメージです。教える側はいかにそのイメージを生徒さんと共有できるかが重要ですね。言葉を使い、ジェスチャーを使い、時には小道具を使って、上手く伝わった瞬間が指導の醍醐味です。